ヘラクレスリッキー(Dynastes lichyi) ペルー サン・マルティン県 wild 1
図1,2 ペルー サン・マルティン県産 WD ♂個体 117mm
図3 購入個体それぞれのラベル
【はじめに】
2023年11月24日および2024年2月4日にUltimate Mika KABUKUWA様が輸入された、ペルー サン・マルティン県産のリッキーです。
ペアは翌日25日に買いに行き、輸入された3ペアの中から最も活性の高い♂と、腹部の節の様子が良かった♀のペアを選びました。
【産地について】
サン・マルティン県産は、過去に輸入されていたアマソナス県産からさらに別の場所を求めた結果、採集された経緯があるようです。
全くの推測ですが、ペルーの首都リマ市からアマソナス県チャチャポヤス空港(Aeropuerto de Chachapoyas)まで飛行機で行けるようで、アマソナス県産のリッキーはアマソナス県以下の産地ラベルがありませんが、同時期に輸入されていたアギーレニセネブト(Aegognathus aguirei)*などの産地ラベルは、チャチャポヤス空港から北に約50kmほどのポマコチャス(Pomacochas)という地名が付いています。後述するアマソナス県北部の治安からしても、アマソナス県産リッキーはポマコチャス周辺から得られているのではないかと思います。
*参考ページ(Ultimate Mika KABUKUWA、アギーレニセネブト、2022/11/25入荷)
https://mikakabukuwa.com/shopdetail/000000006961/
チャチャポヤスとポマコチャスは、太い道路で繋がっていて、さらにその道路を進んでいくとサン・マルティン県に入り、今回のリッキーが得られたAlonso de Alvarado地区にたどり着くことが出来ます。この道路を通ったとすると、ヌエバ・カハマルカ(Nueva Cajamarca)、モヨバンバ(Moyobamba)、タラポト(Tarapotp)、南下してレイメバンバ(Leymebamba)あたりでも採集できるんじゃないかと思います。
外務省の海外安全ホームページによると、2024/03/20現在、ペルーは全土がレベル1の渡航注意、アマソナス県は北部のエクアドル国境沿いがレベル2の不要不急の渡航中止、フニン県サティポなど南部地域の一部はレベル3の渡航中止勧告が出ています。
サティポ辺りの渡航中止勧告は政権抗議活動によるもののようですが、アマソナス県北部に関しては何に由来するのか、エクアドル側の危険情報を見ても判然としません。
ペルーの治安で話が逸れましたが、アマソナス県とサン・マルティン県の産地は、ワヌコ県とウカヤリ県のそれから約400km離れています。島国勘定の400kmは長いですが、大陸として、生物種(ある程度飛行する昆虫)として、400kmがどの程度遺伝的多様性をもたらすのかな〜と思います。
以下はペルー産リッキーの輸入概歴です
(ベネズエラ含む)
抜けがあるかもしれません
2015 ワヌコ県Leoncio Prado郡ティンゴマリア
(ペルー便8年振り)
2016/02 ウカヤリ県プレヴィスト(くわかぶプラネット様)
2016/12/28 ウカヤリ県プレヴィスト
2017/02/16 ウカヤリ県プレヴィスト
2017/06/25 ベネズエラ カラボボ州
2022/06/25 アマソナス県
2022/11/25 サン・マルティン県(初入荷)
2023/01/24 サン・マルティン県(♂初入荷)
2023/04/11 サン・マルティン県
2023/11/24 サン・マルティン県
2024/02/04 サン・マルティン県
【購入した個体について】
図3および上述のとおりです。♂117mm♀65mm↑ペアは2023/11/24入荷分、♀60mmは2024/02/04入荷分です。
♂117mmは、2024/02/04入荷分とも比較しましたが、稀に見る状態の良さでサン・マルティン県産WD♀2匹と、ヤフオクで入手したアマソナス県産WF1♀6匹の計8匹と交尾させましたが、2024/03/22現在も脚力はしっかりしています。
Northern macroregion産(サン・マルティンWD × アマソナスWF1)については別の記事でまとめます。
♀65mm↑は、2024/03/17までに65個産んでいます。孵化率も90%を超えているかと思います。
持ち腹を期待しましたが、2週間ほど産み渋り、初の野外品ヘラクレスで不安だったので♂117mmと交尾させました。得られた卵は全て交尾後のものです。
♀60mmは、追い掛けしましたが産み渋りが激しく、2024/02/08から2024/03/17までセットして、5回割り出しましたが無精卵すら産んでいません。
4日ほど休ませマットを全交換して再度セットしています。
国内に流通しているリッキーは、エクアドル産が180mmを超え、コロンビア産も172mmが出ており、ある程度入荷がある上でまだサイズが出ていないのはペルー産なので、大型羽化とペルー産の普及に努めたいです。
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